髄膜炎の合併症について

髄膜炎は、脳を包む「髄膜」という部分に炎症が起きている状態です。髄膜炎に伴う症状がいろいろありますが、これらの合併症について詳しく以下でご説明してます。

♣けいれん

髄膜炎では、脳を包む膜に広く炎症が起こる影響で、脳の機能に異常をきたし、けいれんがしばしば現れます。治療には抗けいれん薬を投与します。

脳は神経細胞が集まってできており、神経細胞同士は微弱な電気信号を送って機能しています。しかし、何らかの原因で脳に異常な電気信号が起こると、神経の機能が異常をきたし、けいれんとなって症状が現れると考えられています。髄膜炎や脳炎では炎症の結果、異常な電気信号が発せられて、けいれん発作を起こすと考えられます。

♣硬膜下膿瘍

髄膜に起こった炎症のため、頭蓋骨の内部に膿(うみ)がたまった状態です。膿がたまっている部分には、抗生剤が届きにくく、治療がすすまないケースがあります。また、膿がたくさんたまると、脳を圧迫して危険な状態になることもあるため、硬膜下膿瘍が認められた場合は手術などをおこなって、膿を直接取り除く場合もあります。

♣敗血症

細菌性髄膜炎は、しばしば敗血症を合併します。「敗血症」とは、本来菌が存在しないはずの血液中に菌が入り込んで増殖し、全身に炎症を起こす病気です。血液の流れに乗って、細菌が重要な臓器に入り込んで炎症を起こすため、肝臓や腎臓など生命の維持に重要な役割を持つ臓器の機能障害が起こります。症状が重い場合は死亡することもあります。

敗血症の治療は抗生剤の投与です。また敗血症になると、血液の機能にも異常が起こり、全身の細い血管が詰まったり、逆に全身から出血するため、皮膚に出血斑(発疹)がみられることもあります。

♣水頭症

脳に脳脊髄液という水がたまった状態です。脳はやわらかな組織であり、あたかも、豆腐が水に入っているように、脳脊髄液という水に浮かんだ状態で存在します。脳脊髄液は、常に新しく産み出され、脳の周囲を循環して、古くなったら吸収されることで、一定の量や環境を維持するようにできています。

髄膜炎では、脳脊髄液の産生や吸収がうまくいかないため、頭蓋骨の中に、脳脊髄液がたまってしまうことがあり、この状態を「水頭症(すいとうしょう)」と呼んでいます。水頭症では、硬い頭蓋骨の中に、水がたまってパンパンになってしまうため、内部の圧が上昇して脳を圧迫します。結果として、激しい頭痛や嘔吐、意識障害などが起こるのです。

水頭症によって頭蓋骨の内部の圧が更に上昇すると、脳が圧迫されて最悪死亡することもあるため、急いで圧を下げなければなりません。頭蓋内圧を下げる治療としては人工呼吸器の使用、薬の点滴、カテーテルによる脳脊髄液の排出などがあります。

人工呼吸器を使用して、血液中の二酸化炭素の濃度を下げると、頭蓋内圧が下がることが知られています。ただし二酸化炭素の濃度を下げることによる効果は、短時間しか続かないため、次に「マンニトール」という薬を点滴します。マンニトールは、脳内の水分を血流中に移動させる働きがあり、これによって頭蓋内の脳脊髄液の圧力が低下します。

人工呼吸器や薬で治療を行っても圧が下がらない場合は、カテーテルを使用して、直接脳脊髄液を体外に排出して、圧を下げる治療を行う場合もあります。

♣呼吸障害

髄膜炎で、脳の機能に異常をきたした結果、呼吸がうまくできなくなることがあります。治療には、人工呼吸器を使用します。

特に、髄膜炎の炎症が広がると脳の組織が腫れ、頭蓋骨の内部に上手に脳が収まらなくなって頭蓋骨から脳が外に向かって押し出される「脳ヘルニア」という状態になります。脳ヘルニアになると脳のうちでも呼吸を司る重要な部分が圧迫され、呼吸が止まって死んでしまう可能性が高くなるため早急な対応が必要になります。